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 太郎が生まれてからは、ひたすら話しかけ続けた。
 私はもともとおしゃべりなほうではない。グループにいると、人の話を聞いて満足している。その上、子供に、いや、赤ん坊になんて、何を話しかけてよいのかわからない。でも、話しかけが重要だという強迫観念だけはあった。「私が日本語を話さなければ、わが子は日本語を話さない」、という危機感があった。「良くも悪くも、私一人が日本語の源泉」という思い。

 家事をする横に赤ん坊を置いて、自分のすることを実況中継した。赤ちゃん言葉は使わない。
 「お母さん今から昼ごはんをつくるからね。それが終わったらご本をよんであげるからね。いいこでまっててね。」
 「汚いからお掃除しなくちゃね。掃除機をもってくるね。ほこりが立つから、太郎のお部屋で待ってもらおうかな。今、お部屋に連れて行ってあげるからね。」
 「おなかがすいた?じゃあおやつにしようか。お母さんも一緒に食べようかな。何を食べようかな?太郎は何を食べたい?ヨーグルト?」
 とにかく、朝から晩まで、私がすること、頭の中で考えること全てを口に出して、休みなく話しかけ続けた。相槌を求めたりもした。
 赤ちゃんが寝てくれると、「ああ、もう黙っていいんだ」とほっとした。
 これは本当に疲れた。赤ちゃんのうちは殆ど返答があるわけも無いので、自分が馬鹿みたいだと思ったり、むなしかったり。でもそれも習慣がつくまでの始めのうち。赤ちゃんの顔を見て話しかける時、じっとこちらの目を見て、なんとか理解しようとしている表情、答えようとして一生懸命口を開けたり唇を曲げたり、それが声になる時もならない時も、反応がどんどん増えてくるのがわかる。

 しかし、疲れることには変わりはない。
 でもこれこそがインプットの大切さだと、固く信じてひたすら続けた。赤ちゃんが言葉を発するまでには大量のインプットが必要なのだ。その上で、発話は、その子の性格や言語能力にもよるので、失望してはいけないとも自分に言い聞かせた。お大人でもおしゃべりな人もいれば、語学は苦手という人もいるのだから。例えば自分など、語学は嫌いではないが、性格がもっとおしゃべりだったら、もっと上達するのではないかと、勝手に思っている口。

 今振り返ると、モンテッソーリの「ゆっくりとした動作で示す」のとは反対のことをしていたと思う。
 だから、今になって、「しゃべってないで早くやりなさーい!」「不言実行!」とおしゃべり小僧たちを戒める結果になっているのかも・・・

 太郎は10ヶ月くらいから、ぼちぼち単語が出始めた。もちろん日本語のみ。

 太郎が1歳2ヶ月、次郎を妊娠9ヶ月の時、引っ越した。知り合いもいないので、妊婦検診のために太郎を託児所に預けようと試みるが、泣くので止める。偶然にも、おなじマンションに日本人ご家族がいらして、快く太郎を預かってくださった。「うちの子も言葉が早いほうだったけど、太郎ちゃんはもっとすごい。お話がとっても上手ね。何だかとてもしっかりとお話をするのね。」と褒めてくださる。太郎としては家族以外の人に褒めてもらう貴重な出会いだった。

 「しっかりと話している」印象を太郎が与えたのはたぶん、ほとんどの発話に助詞を伴っていたからだと思う。
 これが、たろうが、ここに、つぎは、たろうはこれ・・・等など
 そして、赤ちゃん言葉を使わずに話しかけてきたので、大人の語彙・言い回しがそのまま出てくるからだろう。
 量的なおしゃべりという点では、もっとおしゃべりな子供もいるだろうし、今のほうがよっぽどおしゃべり。単語の数を数えたりメモしなかったのでわからない。

 上の階に住む、猫を飼っているフランス人のおばあちゃんに預かってもらったこともある。太郎は泣かずに、良い子で留守番してくれた。「フランス語が上手ね」とは流石に言われなかったが、「太郎はこちらの言うことはちゃんとわかってるのね」、とおばあちゃんに言われた。だが、フランス語がどのくらいわかっていたかは怪しい。言葉と一緒に状況で理解していたのだと思う。日本語の理解のレベルとは全く違うもの。

 太郎が1歳4ヶ月の時に、伯母と母が次郎の出産の手伝いにフランスへ来てくれた。太郎は片言ながら、ばあばたちとの意思の疎通にあまり問題はなかった。主語、目的語、動詞、などが出揃っていた。パパ、ママ、太郎の実名の始めの音で、なーな。次郎のことは、たーた。ばあばはばーば。(この時期に実際どんな会話があったがビデオが見つからないので、後ほど追加します)

 夫は会社員なので朝晩と土日しか家にいない。それに、私のような、「話しかけなければ」という危機感も持っていない。だから、この時期の話しかけは、日本語99パーセント、フランス語1パーセントというところか。
 3歳くらいまでは、パパがフランス語で言うことはわかっていても、発話はないので会話はほとんど成り立たず、パパは寂しい思いをしていた。
 つまり、うちの場合、フランス語のインプットは細々とありながらも、殆ど日本語で育てたようなものだから、発話が早くても不思議はなかった。マルチリンガルは発話が遅いというのが定説。

 うちは日本に住める予定は無いので、フランスに住み、フランスの学校へ行かせることはわかっていた。だからフランス語は放っておいても出来るようになると確信していたので、日本語だけに全力投球した。フランス語の心配はないといくら言っても、主人は随分心配や嫉妬をしていた。二人とも自由に二ヶ国語を操るようになった今でも、祖父母など外野の圧力は未だに皆無ではない。



 
 
2009.01.27 Tue l 思い出の切れ端 l COM(4) TB(0) l top ▲

コメント

そよ風さんへ
はじめまして。訪問ありがとうございます。
朝の体操って日本的ですよね!
お互いがんばりましょう!
2009.03.15 Sun l garapy. URL l 編集
はじめまして
はじめまして。アメリカで子育て中のそよ風と申します。
とても参考になる記事が多く、我が子が成長した際に是非活用させて頂きたいと思います。
朝の日課のラジオ体操などは、我が家でも是非まねをさせて頂きたいと思います。
ありがとうございました。
2009.03.13 Fri l そよ風. URL l 編集
じれさんへ
初めまして、ようこそ来てくださいました。
じれさんのブログを早速拝見させていただきました。
こんなブログがあったら、日本語の子育ても楽なのにということが満載ですね。
よろしければ、リンクさせていただけますか?
2009.02.23 Mon l garapy. URL l 編集
こんにちは
こんにちは、はじめまして。
ニュージーランドで子育て&子ども向け日本語教室を開いているじれと申します。

数日前に、ブログランキングからお邪魔させていただきました。
いろいろな記事を読ませていただき、すごいなぁ!と感動しています。
毎日の生活の中でのお子さんへの働きかけ、本当に素晴らしいと思いました。
2009.02.23 Mon l STUDIO.Sじれ. URL l 編集

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