夫の実家はToulouseツールーズでエアバスの本社があり、航空・宇宙産業の本拠地だ。その街に、cité de l’espace直訳すれば、宇宙都市、いわゆる宇宙博物館がある。
 子供だましの博物館ではなく、科学に疎い私など知らないことがたくさんあるし、理系の夫でも楽しめる本格的な博物館だ。

 夫の実家から、市内までは小一時間かかる。
 ある日私が、「結婚して七年経つのに、宇宙博物館に一度も行ったことが無いから、子供と一緒に行きたい」と言うと、
夫の家族は口をそろえて「まだ小さすぎて何もわからないから行っても無駄」と言う。当時、太郎が4歳半次郎が3歳だったから、普通の反応かもしれない。
 しかし、当時私たち家族はチュニジア在住で、こんな所に行ける機会は皆無だったし、結婚してフランスに暮らし早七年経った今、全てのフランス人に反対されても、もうめげる私ではない。
 
 そして強行。

 結果は、子供たちはとても喜び、理解できることもたくさんあった。そのための、本でなく展示物なのだから当たり前だと思うが。

 私が強行したのは、外国にいながら日本語の語彙を増やすためだった。
 太郎次郎は二歳・三歳で、「水金地火木土天海冥」と覚えた。こういう覚え方はフランスには無い。それで、夫は「なにその呪文は?惑星の順番?順番はね、ええっと…」、と学生時代の記憶を手繰り寄せなければならない。
 三歳の子の口からぺらぺら出てくるこの呪文が、子供達本人が何のことが解らなければ仕方がない。それで、太陽系の図を描いて見せたり、図鑑を見せたりした。だから、博物館で実体験できるチャンスを絶対に逃したくなかった。

 ここを訪れた後、テレビや本を見ても、ロケット、宇宙、様々な事にそれまで以上の興味を持ち始めた。

 宇宙博物館内の説明はもちろん全てフランス語と英語だ。私が子供が面白がりそうな事をかいつまんで日本語で簡単に説明する。もちろん、博物館自体、小学生以上のフランス語か英語を解する子供が、具体的な物を見たり体験したりしながら学べるように、工夫を凝らして作ってあり、子供専用の別館まである。

 このようにして、日常会話では、お月様とお日様、お星様くらいしか出てこない、宇宙に関する語彙を、日本語でまずインプット。
 日本語で先に楽しくインプットできることは全て試みる、というのが私の方針。厳密な理解は年齢が上がって、学校でフランス語で習ってからでもよい。とりあえず、簡単なイメージと日本語の語彙を結びつけて、その年齢なりの宇宙についての会話が日本語できるようにするのが私の役目。

 そういう意味で、早期英才教育???と眼を丸くされがちな私の行動は、いわゆる世間一般の早期英才教育とは全くかけ離れていると思う。私が適齢とされるより早く諸々の物事に子供を親しませるのは、日本語の語彙とその概念を、学校で勉強として習う前に、せめて可能な限り、今のうちにインプットしたいというだけのことだ。

 最近、太郎がパパとカーナビのついての会話していて、
「ああ、satelliteって人工衛星のことでしょ」等と私に相槌を求めてくれると、嬉しくなってしまう。

2008.03.25 Tue l 語彙を増やす l COM(3) TB(0) l top ▲